ひとり旅 小海 2023.2.20-2.21

2月20日

前の日バイト終わりに早寝RTAを実施したものの上手く眠りに辿り着けず若干の睡眠不足と、最近の中途覚醒癖が邪魔をした。
4時起床。ばたばたして準備をして5時に家を出た。

 

この季節はまだ5時でも真っ暗だ。
5時12分、始発に乗って蒲田に出た。お馴染み長距離切符を購入し京浜東北に乗り込んだ。平日朝の京浜東北は人が多い。この時点で嫌気がさしたけど神田までの辛抱。
神田からは中央線に乗り換え。サラリーマンが車内で懸垂と伸びの運動をしていて、頭の中の斎藤宏介が「やばすぎんだろ」としきりに言っていた。カオスな中央線をやり過ごし、高尾で乗り換え。

7時7分、甲府行きの中央本線へ。ボックスシートに座る。
ボックスシートからしか得られない栄養がある。山の間を縫って走る電車が好きだ。甲府盆地あたりになると、建物が増え、果樹林が。さすがフルーツ王国山梨。

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8時38分、甲府着。ここでも乗り換え。51分発、松本行きに乗り込む。
上越線と同じ車両。トイレすぐ近くの進行方向向きの座席に座る。夏からずっと座りたい席だったのでしめしめという気持ちだ。
頂上が白い山が連なっていることは、私にはあまりにも非日常で遠くへと来たと実感が湧く。

9時43分、小淵沢着。ここで小海線に乗り換える。
今回の旅の目的は「小海線に乗りたい」この己の欲望を満たすこと。
小海線のホーム待合室は可愛らしい照明がぶら下がったログハウス調のものだった。待合室に雰囲気を出してくれる駅、頗る好き。
小海線の車両は、夏に新潟駅で見かけて乗りたいと思っていたので乗れるのが嬉しい。キハ110系可愛いね〜。愛らしいね、、オタクと呼べるほど詳しくないので軽い知識で電車を楽しんでいる。

 

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10時7分発の小海線に乗り込む。ボックスシートに座る。
小淵沢を出てすぐのU字カーブが素敵。小海線は標高が高いところを走っているため、車窓からは高原で見られるようなクマ笹だったり富士山やらが見られた。

 

10時40分、野辺山着。JRの中で日本一の標高を誇る駅。駅舎前にある雪の山を横目に野辺山宇宙電波観測所へ。30分ほど歩いた。
土の匂いと息を吸った時に鼻の奥がツンとする感覚が愛おしくてたまらなかった。野辺山宇宙電波観測所に関しては皆行け。行け。行くんだ。

次なる目的地へ。せっかくならJR鉄道最高地点へと。ここまで来て行かないのはもはや失礼にあたる。
珍しくマップの案内に従って歩いた。舗装のされてない道だった。靴を泥まみれにして歩いた。笑ってしまうくらい状況の悪い道だったけどそれが楽しかった。ひとりで声を出して最高!!と噛み締めた。寒さも感じないくらいに楽しかった。泥まみれにした靴をその辺にある雪の山で綺麗にしてご飯屋さんへ。

お昼ご飯に瓶ビール(グラスの小を頼んだら無いと言われたため瓶ビールになりました。そんなに昼間からちゃんと呑もうというソレではありません…)とみそ天丼を食べた。
奇しくも11月、山形の寂しい港町で食べたご飯も天丼だった。泣きながら食べたご飯の味はどうにも印象に残る。
今日、色んな種の美しさを目の前にして、心の動きが苦痛ではないことが嬉しく涙が出た。瓶ビールを飲みながらこっそりと泣いた。アルコールのせいにしておこう。ぽわぽわとした気分でお店を後にした。

 

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そろそろ駅に向かわないといけない時間。線路沿いをゆっくり歩いた。右手に大きなアンテナを望みながら30分ほど。
過去の自分を容認するため、これからの自分に許してもらうために旅をする。答え合わせのために知らない街を歩く。
駅前のSLをジロジロ見てから電車に乗った。駅員さんにこの間の時間何をしていたか聞かれたので、観測所行って最高地点行って散歩してました。良い街ですね。と話をした。気をつけてと見送られた。旅先では知らない人とよく話す。14時15分発の電車で街を後にした。

 

本来、小海駅で降りて散策してから宿泊施設のある中込へと向かうつもりだった。だが、野辺山から乗って少ししたら、激ヤバえげつな動悸窒息しそう波がやってきてしまった。
それゆえ小海駅で降りることもせず、車窓の記憶も無い。ただぜえぜえと苦しむ幸の薄そうな女が中込まで電車に揺られただけになった。
アルコールだけが原因ではない。そこだけははっきりさせておこう。断じてそれだけではない。

 

15時23分、中込着。ふらふらしながら電車を降りた。外の空気を吸って少し復活。
中込駅前の商店街、とても素敵でにこにこしながら歩いた。大きな街灯がすずらんのように見えて可愛らしかった。とりあえずホテルへチェックイン!1時間ほど眠って完全復活。夕飯の調達と散歩のために外へ出た。旅先お決まりの地域密着型スーパーでお弁当を購入。るんるんで街を歩いた。
18時近かったけれど素敵喫茶店を見つけてつい入店。ケーキと紅茶を頼んでゆっくりした。
茶店で本を読んでいる風にしているけれど、実際は近所の人と店主の話を聞き耳立てて聞いているだけ。サイフォンが壊れたって話をしていた。
茶店を出て、商店街を歩いた。言葉ではうまく説明できないつくりになっているので「中込商店街」とかで検索してくれ。
雪が降る中うろうろ1時間ほど歩いて、ついでに千曲川にかかる橋を渡ってホテルに戻った。お弁当をリュックにつっこんで歩いていたから究極の寄り弁を食べながら性懲りも無くビールを飲んだ。
不安で眠れないことはざらなので…入眠。

 

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2月21日

6時前起床。身支度をして朝ごはんRTA
7時にチェックアウトして街へ。昨夜練り歩いた街を軽く歩き中込駅へと。
長野は私服の高校が多いと小耳に挟んでいたけれど、確かに。

 

7時27分発、小淵沢行きへ乗り込む。朝日に照らされて走る電車の中、己の愚鈍さや醜さに恥ずかしくなって俯いてしまう。なぜか急に後ろ指をさされているような気持ちになる。

 

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7時59分、小海駅着。学生の群れの後ろにくっついて降車。バスを待っているであろう高校生を背に私は街を歩く。本来の予定はそのままバスに乗って松原湖へ行くつもりだったのだが、どうしてもこの街を歩きたくなった。昨晩降ったであろう雪に足をもたつかせながら、地図も見ず行きたい方へと足を動かした。この時間が何よりも楽しくワクワクする。
たった1時間半の滞在じゃ歩き足りない。素敵な街だった。

 

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9時29分、小海駅発。歩く時間も好きだが、ぼんやりと車窓を眺めるのもまた同じくらいに好き。
10時14分、清里着。今回の旅の最後の目的地。
80年代のスキーブームにより栄えたが、流行りとはいつか廃れるもの。現在は駅前も寂しく廃墟が多いと聞いていたので、行くべし!ということで訪れた。
が、想像以上の荒廃具合に驚きを隠せなかった。駅前の店はほとんどシャッターが下ろされ、空きテナントやら売物件の看板やら。街中をじぐざぐ歩いたけれど本当に寂しい。あまりの寂しさに軽い気持ちで来たことを少し後悔した。

 

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駅から少し離れたペンションが多くある場所を歩いていた時、唯一選考中の企業から電話が。先日の面接の結果かと思い電話に出た。要約すると精神が不安定な人は企業的にも不安なのでもう一回そのことについてよく話しようという内容だった。鼻水ずるずる涙ぼとぼとで電話の対応をした。平気そうな声を出すのは割と上手いのだ。
ここからの旅はもう目も当てられない。ただずるずる言いながら、生きるの下手くそだなとか、フリーターはそれはそれできついんだよなとか、色々間違っちゃたなとか考えるだけのカスが爆誕してしまった。
駅前のご飯屋さんに泣きながら入って、エビフライを食べた。店員さんの優しさか偶然か、奥の席に座らせてもらえた。結局泣きながらご飯を食べた。悲しみが溶けて海に流れ込む日を夢見る。

 

12時55分、清里発の電車に乗り込む。少しずつ山を下っていく。二両編成のワンマン。二両目は誰もいなかったので、ひとり車窓をぼんやりと眺めてる風。実際は色々考えてぼろぼろですが。
13時17分、小淵沢着。1時間近く時間を持て余したので、改札を一旦出て少し街を歩いた。
14時7分、小淵沢発の電車に乗り込む。手押し車を押しているおばあちゃんがいたので、少し手伝いをしたらそのままお話することになった。
竜王まで。癌で病院に行っていたとか、子供にも孫にも3年会えてないとか、戦争に行った親に育てられた話とか。
こちらも軽く身の上話をした。別れ際に元気でねと声をかけたら、泣いちゃダメよと言われて結局しばらく泣いてしまった。

16時30分、高尾着。そこからは中央線に乗って。
人、人、人、人、ビル、ビル、人、ビル、人。
蒲田で降りた時、時間の流れ方が忙しなく感じられてキレながら家まで帰った。

 

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いつか今回の旅の答え合わせをどこかでできる日は来るのだろうか。
きっと無駄ではないと思う。思いたい。不安なままでいいのだと思う。思いたい。