新潟弾丸旅

3月23日、朝4時起床。5時過ぎに家を出た。18きっぷを片手に…

 

新橋から高崎までグリーン車に乗った。1000円課金で通勤ラッシュで混雑した電車に乗らなくて済むのはありがたい。
隣の人が貧乏ゆすりをしながらPCを叩いていた。私はその横でレモンサワーを一缶開けた。癖になる快楽。

 

高崎から上越線に入る。新潟に行くのは3回目だ。去年の8月と11月。高揚と鬱屈。対照的であって、なんだか類似もしている。そんな今まで。

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水上での乗り換えももう慣れた。颯爽とボックスシートを確保した。
ボックスシートからしか得られない栄養がある。

 

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越後湯沢を出たあたりで急に電車が止まった。車内アナウンスで「風の影響でこの先速度を落としての運行となります。」今回は旅程がひとつでも崩れるとまずいのだ。車内で焦って時刻表を調べた。そしたらすぐに「風の影響は大丈夫とのことなので通常の速度で運転いたします。」変な汗が出たけど、なんとか乗り換えできそうで安心した。車内の大学生はスキーウェアを着て談笑をしていた。外は長い冬の名残が薄汚れて積もっていた。


六日町で乗り換え。改札内ほくほく線の切符売り場で美佐島行きの切符を購入。
今回の目的地のひとつ。11月の新潟旅で行き損ねた場所。ほくほく線、名前も車内も好き。

 

美佐島駅で降りるのは私だけではなく、親子も一緒だった。私はひとりだ。
こういうところはなるだけひとりで訪れたい。誰かと行くのも素敵だと思うけれど、ひとりだということに意味がある。そんな気がする。

 

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駅は面白いつくりをしていて、絶妙に心をくすぐる。
待合室の中にある駅ノートを眺めた。
知らない誰かの言葉にクスッと笑ったり、驚いたり。許されるのであれば、こういうことだけをして生きていきたい。
駅の周りを少し歩いた。民家はあれど何かしら観光地があるわけではない。でもそれが良い。私はそんな場所が好きだ。道端に雪の塊とつくしとふきのとうが同居していて、少し不思議な気持ちになる。これがこの場所の春なのだ。アウターが邪魔になるくらいの春の心地だった。

 

 

駅に戻って電車に乗り十日町へ。ここは11月にも少しだけ訪れていた場所。季節が変われば街も変わって見えたりする。お寿司屋さんへ。マップの指示に従って歩いたらよくわからない畦道を歩かされた。ずっと畦道だけを歩きたい。


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お寿司屋さんで軽くビールを飲み、お寿司を欲望のままに食べた。鮪の色が綺麗で感動した。新潟、お魚美味しい。(高知も美味しい。)
少しフワッとした足で駅の方へ戻る。十日町は駅を挟んで東と西で少し雰囲気が違うように思う。

 

十日町から飯山線に乗り込む。初飯山線越後川口上越線に戻る。乗り換えをして長岡へ。長岡は高知市くらいに安心感がある。
今回の最終目的。長岡市にある旧中島浄水場配水塔。これを見るために来たのだ。

 

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素敵すぎないかい?この建物たちは水道公園としてあるので、塔の下あたりで小学生が遊んでいる。この子たちにいつかこの景色を懐かしく、恋しく思ったりする日が来る。そういうことを思うだけで馬鹿みたいに心の奥の変なところがぎゅっとする。君たちの育った街は素敵なんだ。

 

信濃川沿いの土手を「帰りたくないよ〜。みょーーーーん」と奇声をあげて歩いた。
街中をぶつぶつ言いながら歩いていたら後ろから人が来ていて、ひとりごとは極力控えよう…と少し反省した。

 

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16時頃に長岡駅に戻ってきた。恋人が新潟出身なので、帰省から戻る彼と合流して東京に戻るというやつ。私が長岡にいるのが変らしい。一緒に夕飯を食べて19時前の新幹線に乗って帰った。

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新幹線の車内でいろいろ考えていた。
苦い記憶ばかりがこの場所に定着するのが嫌で、今回恋人の帰省に合わせて新潟に行くことにしたのだ。始発在来線の日帰りというイカれたスケジュールにしてしまったけれど、それでも今回行くことにして良かった。
これも自分のことを掬う行為のひとつなのだ。そしてまたいつかこの日のことをどこかで拾い上げる日が来れば良い。